Lの世界の世界 - The L Word

The L Word

~「Lの世界」 の世界 ~ 

L To The V Words

By the article from OurChart
March 2008

3月25日、アイリーン・チェイケン(『Lの世界』 総指揮プロデューサー)と、『Lの世界』 のキャストたちはサンフランシスコに集結した。このようなメンバーが集まったのは、ただ単にシーズン5の最終回を記念してのものではなく、“The Vagina Monologues”の作者イヴ・エンスラー(Eve Ensler)によって設立された、女性や女児に対する暴力の根絶を呼びかける世界的運動を行っている V-Day のサポート表明のためでもあった。

イヴ・エンスラーは、この日曜日のイベントを “L to the V” と名づけ、奥深いメッセージも頂き親密な祝賀会だったと語る。

アイリーン・チェイケンとジェニファー・ビールスがその日に述べた挨拶は以下の通り。二人はV-Dayと共に、ニューオーリンズで行われる新しいプロジェクト “V to the 10th” イベントの陣頭指揮をとる。

イヴ・エンスラーとLの世界のキャストたち

アイリーン・チェイケンのあいさつ

私たちはイヴ・エンスラーに、ミア・カーシュナー(Mia Kirshner)演じるジェニー・シェクターが幼少期に受けた性的虐待の回顧録を統括する編集者として参加してもらえるよう説得しまして、『Lの世界』 のシーズン2の時に承諾していただきました。そして、彼女はまさに適任でした。適任でしたでしょ? なぜなら、世界中で蔓延する女性や少女への暴力行為について、誰がイヴ・エンスラーのように広範に力強く語っているのでしょう。誰がイヴ・エンスラーのように言葉を実行に移して社会的活動を行い、いつの日か暴力行為がなくなることを願っているのでしょう。

“L” と “V” の融合は、その2つの文字が女性のストーリーを象徴し躍進させるのにふさわしいアルファベットの文字であるという事実を超えて、意味を成しています。V-Dayの巨大で圧倒されるような絶対不可欠の任務の中で、私たちのレズビアンストーリーが意義とインパクトを持っていると真価を認めてもらえたことにプライドと感謝の気持ちを持って、私はV-Dayのボードメンバーに参加しています。

今晩、感謝の気持ちを伝えたい人たちがいます。

まずTraci Des Jardins。今日のワインとシャンパンを提供してくれました。どうもありがとう。それから、V-Dayのボードメンバー仲間のEmily Scott Pottruck。この素晴らしいパーティと、今晩、私たちを素敵な自宅へ招待してくれて感謝しています。どうもありがとう。それから忘れてはならないのがBeth Karpfinger。彼女なしでは、今晩このように一同会して、そしてその意味を持たせるなんてことはできませんでした。本当に感謝しています。

また、仕事仲間であり、良き友人でもある『Lの世界』 のキャストのみんなに感謝の気持ちを伝えたいのです。特に今日この場に来てくれた人たちに感謝の気持ちを込めて紹介します。

ミア・カーシュナー(Mia Kirshner) は、彼女自身、世界中の救済を求めている女性たち、少女たちの助けになることに熱心に活動されています。この春にPantheonから、彼女の処女作 “I Live Here” が出版されますが、その中で、救済を求めている女性たち、少女たちのストーリーが、彼らの言葉とイメージで語られています。

次は、ローズ・ローリンズ(Rose Rollins)。ローズは、ターシャ・ウィリアムスという尊敬の念さえ抱かせるほどのキャラクターを作り上げてきました。こんな私でさえ一度か二度、強い愛国が目覚めたほどです。

パム・グリア(Pam Grier) は、いつのときでも引き下がったりしない、もっとも信頼のおける親友の一人です。今日、このV-Dayのサポートのために実は大変な思いをしてここまで来てくれました。今日乗るはずだった最初の飛行機がキャンセルになり、滑走路で2時間待っていたそうです。そしてロサンゼルスに戻るため、あと1時間したらまた飛行機に乗らなければならないという状況の中、来てくれました。明日は新しい映画の撮影が始まるので、夜が明ける時間には、撮影現場にいなければならないそうです。

さて、品格と情をもってトランスジェンダーのマックス(Max)を演じてくれたダニエラ・シー(Daniela Sea)です。彼女は、その役を通してトランスジェンダーに関する公開談話において、新しい開拓者ともいえる活躍をしています。

そして美女、レイチェル・シェリー(Rachel Shelley)。彼女は今日のこのために、はるばるロンドンから来てくれました。『Lの世界』 でレイチェルが演じるヘレナは、最上級のお金の使い方は自分以外の女性の生活を向上させるのに使うことだということを知っている女性です。そしてレイチェル自身も、彼女の品のよさと気前のよさで、撮影で大変な一日をだいぶ和ませてくれました。

最後にケイト・メーニッヒ(Kate Moennig)。これ以上なんて言えばいいのかしら。ケイトはほとんど独力で、思いもよらない多くの女性たちの間で、ひらめき・願望・受け入れること・そして欲望の意識改革を煽ってきました。

さて、それでは・・・  力強い存在感、並外れた知力、卓越した才能を『Lの世界』 に捧げると決めてくれたそのときから光栄に思っていますが、この上なく素晴らしい今晩の共同ホストを務めてくれている、ジェニファー・ビルスを紹介します。


ジェニファー・ビールスのあいさつ

10年ほど前に、友人のLisa Gay Hamiltonが電話してきて、「ちょうどなんともすごい役をやり終えたところなの。なんだか心が広くなって社会的な力がついたような気持ち。」といったようなことを私に話してくれ、私にも機会があったらすぐにやりなさいよと勧めてくれました。「それって何の役のこと?」と私が訊くと、「The Vagina Monologues(ヴァギナ・モノローグ)よ。」と言うので、「あら、そう。」とだけ私が返すと、「キャラクターたちが女性であることにどう関わっているのか、ヴァギナとの関わり合いはどうなのかといった独白を読んだけど素晴らしかったわよ。」と彼女は言いました。そこで私は、「Lisa Gay、私は自分のヴァギナを愛しているし、今の自分のヴァギナで結構よ。私とヴァギナはいい関係よ。私が自分のヴァギナとのつながりを感じるのに“ヴァギナ”って500回も言う必要がないのよ。でも、あなたがそんなに素晴らしい経験ができたってことは私も嬉しいわ。」と伝えました。

そして、昨年のちょうど今頃の時期にエージェントから、 「“The Vagina Monologues(ヴァギナ・モノローグ)” に出てくれないかと依頼を受けたので、君に演じてもらいたいという独白の文書を送るから。」と連絡を受けました。それは出産に関するものでした。そこで私は、文脈を大切にして読みたいので、芝居全体の内容を送ってくれるよう頼みました。ちょうどその頃、私は映画の撮影に入っていたので、送られてきたその芝居の内容をランチを食べながらトレーラーの中で読みました。読み初めは、おもしろいストーリーがいくつもあって、声を出して大笑いもしましたが、中には腹立たしくもなるストーリーもありました。読み終わる時には涙ぐんでいる自分がいて、どうしてそうなったのかはっきりとわからないけれど、不可解にも、不思議にも、霊魂が宿ったようにすべての場所のすべての女性に結びついたという実感があったからだということはわかりました。そして、誇りと悲しみと突然沸き起こった責任感を感じました。こんなに人の心を動かせるなんて、なんてよくできたストーリーの語り口なのでしょう。 “The Vagina Monologues(ヴァギナ・モノローグ)” は、あなた自身のことを気づかせてくれるだけでなく、あなたを他の女性たちとも結び付けてくれます。

実のところ、私たちはどこに住んでいようと、文字にしろ、口頭にしろ、視覚的にしろ、絶えずストーリーに囲まれています。11月にエチオピアにいる兄に会いに行ってきました。兄は国連に勤めています。兄と歩いていた時、背負った木の重さで足を引きずりながら歩いているロバを見ました。私は兄に、エチオピアのロバはとっても大変なのねとつぶやくと、兄は私の方を向いて、女性であることのほうがもっと大変なことさ、と言いました。そして案の定、もっと近くに寄って見てみると、ロバの後ろに2倍の量の木を背負った女性がいたのです。女性のそばには男性がいましたが、携帯電話だけ持ってその女性に話しかけていました。このようなことは、エチオピアでは、すべての少女、すべての少年、すべての男性、すべての女性にとって日常茶飯事なことなのです。このような話は、地方で行われている性器切除のことに比べたら “害のないただの話” なのでしょう。でも私たちにとっては、その文化の範囲内だけで悪びれることなく成文化されている “ひどい話” なのだと思います。

米国ではどうかというと、私がいい加減うんざりしている “害のないただの話” は、ビールを売るために屈辱的に使われているブロンド女性に関するユーモアを交えた話です。笑い事ではありません。そのような話に、もううんざりなのです。腹立たしい限りです。一方、素晴らしい話もあります。権限を主張して勝ち取った女性の話、激怒と抵抗と不屈の勇気の話、そして、巨大な隔たりを超えて、混乱状態で女性に対する暴力が野放し状態のこの地球上でもっとも危険な場所へ手を差し伸べて、助けを必要としている女性たちの手をとり、助け出し、安全で保護され自決できるような方向に導いている女性や男性の話もあります。

これらが、V-Dayのお話です。

たくさんの女性たちの話を語ることによってわかってきました。でも特にここ最近6年間は、『Lの世界』 の話について語っています。話をする、そのこと自体急進的な行動だとわかってきました。それは、人の心をも変える行動です。描写したり、公布したり、真実を語ったり、話を伝えていくということは、文化を進歩させます。正しい話はタイミングがいいと、目に見えるほどにも、感じられるほどにも、そして効率よく社会を前進させることができます。歴史が実に勝者によって書かれているものである一方、私たちは、私たち自身の歴史を書くことによって、自分たちを勝者にできるのだということに私は結論付けています。

Lisa Gayが “Vagina Monologues(ヴァギナ・モノローグ)” で演じた経験を聞かせてくれたあの運命的な日以来、私が悟っていることは、私は自分のセクシュアリティ、それから女性であることや自分の持つ権限において、現状のままで何ら構わないだろうということです。私は幸運にもレイプ被害に遭わなかった3人のうちの2人の中に入るからかもしれません。しかし、全世界的に見れば私は例外であり、現実は、“他の誰も” が “OKAY” となるまで私も “OKAYではない” ということです。

そして、私はどんな手助けができるのだろうと自分自身に問いかけています。どうやって(気持ち的に)結びついているのにまだ知り合えていないすべての女性たちを助けてあげることができるのでしょうか? 私は俳優として事実を伝えていく過程に参加しています。つまり私は役者として、映画やテレビ、そしてインターネットにおいて広範囲に語られている話の一部になり得るのです。そして、イヴ・エンスラー(Eve Ensler)に会った後は、V-Dayの一部になれると気がつきました。

V-Dayは、古い考え方を変えるために独白を語り伝えています。V-Dayは、そのうち覆される運命にあるような、完全に我慢できない古い考え方がはびこる場所で、より良く、必要とされ、非常に魅力的な考え方へと現実に置きかえることによって、古い考え方を変えています。

“L” を “V” に参加させることができて誇りに思います。そして、私もまた、あと3週間で “V to the 10th” のイベントに参加できるのを楽しみにしています。そこでは、イヴ・エンスラー(Eve Ensler)のサポートを得て、アイリーンと私と何人かの仲間たちでニュー・オーリンズの女性のLGBTにまつわるストーリーを集める予定です。これからもっともっと、私たちを描き、動かし、変え、最終的に私たちを結びつける話を前面に持ち出す新しい独白の語りとパフォーマンスのプロジェクトの第一歩になることを期待しています。このV-Dayの活動と、イヴ・エンスラー(Eve Ensler)と皆様にやる気を起こさせられたように感じます。今晩はお越しくださりありがとうございました。皆様の寛大さと行動的な活動をありがたく思います。そしてまた、V-Dayのサポートのために、今日私たちと共に「Lの世界」のシーズン最終話を見届けてくださりありがとうございました。

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