焦がすような暑さの10月のとある日、レイシャ・ヘイリーとキャサリン・メーニッヒのインタビューは、ロサンゼルスの「Lの世界 (the L word)」の撮影現場で行われた。キャストとスタッフは(普通の撮影現場と違って女性が多い)、キャサリン・メーニッヒ、レイシャ・ヘイリー、ローレル・ホロマン、ミア・カーシュナーがウエスト・ハリウッドのハイソな地域での短いシーンのリハーサルをしているのをじっと見ていた。
ミア・カーシュナーには、実は撮影現場に向かう車の中で会った。“会った”といっても、バンに乗り込もうとした時につまづいて彼女の膝の上に転げ落ちそうになった時、すぐに「大丈夫?」とやさしい声で聞いてくれたのだ。ミア・カーシュナーは、TVで見るよりも現実のほうが断然際立って綺麗な人である。見とれたせいか、「ええ、大丈夫よ。」と答えるのを忘れてしまったほどだ。そんなわけで、この華やかな撮影現場でのインタビューは、いいスタートをきった。
その後バンに乗り込んできたのは、ダニエラ・シーとローレル・ホロマン。だが親しげに世間話をしていたので見ていると少々当惑してしまった。というのも、二人はただ天気のことを話していたのだが、それはまるでマックスとティナがいる異次元の世界に足を踏み入れたようだったのだ。ローレル・ホロマンは思ったより背が高く、ひょろっとカジュアルエレガントにジーンズとブーツを着こなしていた。
シーンの撮影を見にささっと近くの住宅街に行った後、レイシャ・ヘイリーとキャサリン・メーニッヒをインタビューするため近くの裏庭に急いだ。扱いにくいボイスレコーダーのセットアップに奮闘している間、レイシャ・ヘイリーはひたすら何かメモをとっていて、一方キャサリン・メーニッヒは、アイスキャンディを嬉しそうに食べていた。すべて準備が整い、枯葉の散らばったプールの近くに座ると、シーズン1からシーズン5までの進展について、まるで仲のよい友人が話すように語ってくれた。お気に入りの恋愛シーンのこと、デイナ(エリン・ダニエルズ)がいなくなったこと、そしてシーズン5ではどんな展開になるのか少し触れ、さらには白髪のことや、ホラー映画、サラ・シャヒ(カルメン役)の存在についても語ってくれた。
Q: お二人が演じるキャラクターのシェーンとアリスは、ドラマが経過するにつれて大きく変化するけど、その変わり方をどんな風に感じているの?
レイシャ・ヘイリー: ふつう一つの役をやるとその型にはまってしまうものでしょう。警官の役だったっら警官、何か一本調子のタイプの役立ったら一本調子みたいな。「Six Feet Under」のようなよっぽど見事なドラマでない限り、どうしても役の幅が狭まれてしまうものなのよ。でも「Lの世界」では、わたしたちの役のあらゆる部分を探求させてくれるの。それは稀なことだわ。アリスは今まで様々な局面を経験しているので、私自身も女優として挑戦しがいがあったし、違った部分を演じていくのは貴重なことだと思っているわ。
キャサリン・メーニッヒ (以下ケイト): 私たち女優もアイデアを出したりするんだけど、実際ドラマに取り入れてもらうことがあるの。それって素晴らしいことだと思う。いろいろな個性や発想のコラボレーションが、シーズンを通してキャラクターの存在を大きくしているんだと思う。
Q: 実際ドラマに取り入れられたアイデアの例を教えてくれる?
ケイト: 例えばシーズン3のシーンで、プロデューサーのアイリーン・チェイケンは、結婚式での完全な破局やその他もろもろストーリーを展開したけれども、それはただ相手に対するひどい態度でしかなかったんだ。
レイシャ: あなたがカルメンに対してしたそのひどい態度、わたしは本当にスィートなことだと思ったけど。(笑)
ケイト: そうなの? まぁそれで他にどんな考えがあったのか知らないけれど、ある時、シェーンは誰かの面倒を見ることになったらいいんじゃないか、シェーンの人生の中で一度くらい自分より大切なものがあってもいいんじゃないかと思ってね。そうしたら幼い弟のストーリーが浮かんできて、それをアイリーンに提案したら取り入れてくれたんだ。演じるキャラクターの内面が大きく変化するのは素敵なことだと思うよ。だって常に同じ役を演じるのはつまらないからね。
Q: 演じているキャラクターの方向性に驚かされることはあるの?
レイシャ: 時々ある。
ケイト: 私はない。
レイシャ: え? ないの?
ケイト: 多少はあるよ。でもそんなにない。そういえばカルメンとシリアスな関係になっていくことに少しは驚いたよ。もう少し時間をかけて関係を築いていくと思っていたから、いきなりの発展にはちょっとショックだった。
レイシャ: でもそれはテレビドラマだからねぇ。
ケイト: そうそう、これはテレビドラマだってことを忘れてはいけないんだよね。「Lの世界」では時間が過ぎるのがかなり早いから。
レイシャ: わたしたち、いつもストーリーを引き伸ばしたいのよね。
ケイト: そう、私たちのキャラクターが誰かに出会ったときとか,,,
レイシャ: じっくりやりたいんだけど、「はいOK。じゃあ一緒に近寄って~。さあ今度は離れてくれる~」みたいな。
ケイト: 3つのエピソードで、誰かと寝て、別れるか、結婚するかみたいなね。
レイシャ: 伝えたいストーリーがたくさんあるから、これやって、あれやってって感じ。
ケイト: キャラクターの巨大な回転扉があって限られたときだけ空間に放り出されるようなものだよ。
レイシャ: デイナとアリスが破局した時、アリスはおかしくなっちゃったでしょ。そんな展開になるなんて思いもしなかったから驚いたわ。
ケイト: そうなるって知ってたよ。アイリーンが「レイシャを回復させたいんだけど、どうすればいいの?」って言ってから。