Lの世界の世界 - The L Word

The L Word

~「Lの世界」 の世界 ~ 

レポート&インタビュー: L5 コンベンション - Blackpool, UK -

By the article from tibette.com
November 2008

Q: ジェニファーだけへの質問なので、ローレルとレイチェルには退屈かもしれませんがお許しください。トライアスロンについてですが、何があなたをそんなにやる気にさせるのですか?

ここでまた大爆笑の場面。女性が、“ジェニファーにだけ” と言ってこの質問をするとすぐに、レイチェルはローレルの肩に頭を乗せ、ローレルはレイチェルの頭の上に頭を乗せて、二人は寝たふり。そして観客が大爆笑すると、ローレルとレイチェルは目を覚ましてパティ・ケーキ(両手をたたき合う子供の遊び)をやり始めた。ジェニファーはどうすることもできず、二人を見ながら私たちと一緒に笑っていたが、そのうちこう言った。「この二人は自分たちのコメディ番組でも持つべきよね。」

ジェニファー: まず最初に、私にとってトライアスロンは、ただ単純にトレーニングを積むか堕落するかという問題。プログラムについては、ネットで詳しく調べられるわ。最初はとにかくただやるだけだけど、いったん型にはまるとおもしろくてクセになっちゃうのよ。トレーニングのやりすぎは危険。私にとってやる気を起こすのに一番いい方法は、トライアスロンをチャリティと結びつけること。そうすると、アラーム時計が5時半とかひどい時間に鳴り出してベッドが暖かくて居心地がよくても、起き出して 「よし、自分のためじゃないんだ。他のひとのためにがんばるんだ。」 ってがんばれるのよ。

次の質問はとーってもわかりづらかった質問。英語が母国語でない女の子からだったので、こんな感じで質問は始まった。「ジェニファーとレイチェル、二人とも愛してます。でもローレル、あなたのことはものすごく深く愛しています。」 この時のローレルの顔は素晴らしかった。 ちょっと赤面して恥ずかし気で、愛らしい表情を浮かべていたと思う。そして「ありがとう。」と感情のこもった声のトーンで言った。ジェニファーとレイチェルは、笑顔でただローレルのことを見守っていた。実に素晴らしい瞬間だった。そのあと、その女の子は自分自身のことやガールフレンドのことなどを話し始めたが、先ほど書いたように、ゲストにとっても観客にとっても理解するのに苦労した。私が理解した範囲でその女の子が何と言ったのかまとめてみると、彼女はガールフレンドと何年か付き合っていて、質問している彼女はゲイでガールフレンドはバイ。それでローレルに、シーズン3と4で男性と付き合うストーリーラインで素晴らしい演技を見せてくれてありがとうという気持ちを伝えようとしていた。なぜなら、彼女のガールフレンドはバイなので男性パートナーともっと楽で一般的に認められたライフスタイルを持てるのに、同性の自分と一緒にいることを選んでくれているということや、それ以外にも取り組んでいかなければならない問題があるほうを選んでくれている、という点からパートナーのことをもっと理解してあげることができたという。ローレルは、「それは複雑なストーリーラインではあったけれども、ドラマの中でそういった点を探求したことは、大事なことだったのだと今わかったわ。ありがとう。」とその女の子に言った。

Q: 誰かが不名誉な “疑問” の一つをジェニファーにした。 「どうしてキャンダスと浮気をしたの?」

ジェニファー: うーーーん・・・、大工ねぇ・・・。

ここでジェニファーが何かを言う前に、レイチェルが物問いたげな表情で横から口を挟んだ。

レイチェル: 彼女が “hot” だったんじゃな~い?

ここでジェニファーとローレルが大笑いしたのでそれが観客にもうつり、笑いを誘った。わたしの記憶が正しいのなら、この質問の答えはもらえず、ただみんなして笑っていた。

Q: シーズン5の最終話で、ハマー美術館でのイベントの後、ベッドの上でジョン・レノンとオノ・ヨーコのあの有名な写真のポーズをして、ティナがベットを和ませてあげているシーンについての質問。ティナの動作が実に硬くて、右手はベットの髪を愛情を醸し出しながら撫でているのに、左手は握りこぶし。なんだか怒っているように見えるけれど、あの場面ではそうだったの?

ローレル: 皆さん本当によく何でも気づくのね。あの時ティナは、怒っているというよりむしろ起こってしまったことに罪悪感を感じていたのだと思う。 時々撮影中に、あれこれ位置を変えたり、あるシーンのためにぎこちない格好のまま、監督が「動かないで!」って言ったりするの。そうするとそのまま身体を動かさないようにしてがんばっているわけ。だって、監督がスクリーン上で素晴らしい見栄えだと確信するから、動かないでって言うわけでしょ。 (その場面ではティナは本当に笑っちゃいそうなほど固まっているみたいなのだ。) そのシーンで握りこぶしだったのかは覚えていないけど、おそらく身体のバランスを保つためにベッドシーツか何かを握っていたのだと思う。

Q: ティナのバックグランドのことは、シーズン6でもっと見れるの?

ローレル: そうね。話されるでしょうけど、それ以上は言えない。でも、養子のストーリーラインがあることだけは言っておくわ。

Q: ある女の子からのなかなかいい質問。そこにいる全ての人がゲイだという別世界を想像してみてください。だれと結婚したいですか?

ローレル: わたしはティナ・フェイ (Tina Fey)と結婚する。

ジェニファー: わたしはケリー・リンチ (Kelly Lynch)。時々、アイバンみたいに男装させちゃう。

レイチェル: いまものすごくビヨンセ (Beyonce) に夢中。彼女のことが頭から離れない。どこに行っても、彼女のことを考えている。

Q: ローレルに質問。以前のコンベンションでアンジェリーナ・ジョリー (Angelina Jolie) とキスをしたことがあるということを知りましたが、彼女とジェニファー・ビールスとどっちのキスがよかった?

観客はもちろんのこと歓声を上げホイッスルを鳴らし、3人はステージの上でニッコリしながらあちこち見ていたようだった。するとローレルがセクシーな低めの声で、「あなたはどう思う?」と訊き返した。そのファンは、「わたしは自分の答えはわかっているけれど、ローレルはどう思っているかが知りたいの!」 ローレルは、しばしただ笑みを浮かべこう言った。「どう思う? ジェニファー・ビールス!」 そしてその後、「あれ、質問は何だったっけ?」 この場面では、観客からの大きな拍手と喝采、そして魅力的な女性を見た時に鳴らすような口笛がすごかった。

Q: ドラマが終わってしまうのがとっても残念で仕方ありません。ドラマを続けさせる道はないのですか?

ドラマが続くということはもうないけれど、ここでもまた映画化される可能性が現実的にかなり高いということを言っていた。

Q: みなさんに質問。 ドラマ「Lの世界」はあなたの人生をどう変えましたか?

この質問の時が、日曜日最大の感動的場面だった。まずジェニファーが答えた。彼女にとって深い意味を持つ個人的な質問なのだということが見てすぐにわかった。まず「Lの世界」に出演する前は、いかに政治的なことに関わっていなかったかということに少し触れた。そして自分はこれまでの人生で常に “その他 (others)” (※) とカテゴライズされているけれど、「Lの世界」に出演するようになって、ゲイ社会のコミュニティを知り、同じように “その他 (others)” とカテゴライズされているが故、すぐにゲイコミュニティとの繋がりを感じられたと目に涙を浮かべて言った。ジェニファーは泣き始めないよう涙をこらえながら、ティッシュを持ってくるのを忘れたとジョークを言った。するとローレルは、親切にもすぐ横にある小さなテーブルからピンク色がかったテーブルクロスを取ってジェニファーに渡した。ジェニファーはそれでそっとたたくように涙を拭った。なんとも言えない場面だったが悲しくもあった。ある女の子が観客席から立ち上がってステージまで行き、小さなティッシュのパックを差し出すと、ジェニファーも立ち上がってステージの一番前まで行ってそれを受け取った。しかしそのあとジェニファーは、彼女自身の存在そのものが違法なのだとみなされていた時代は、まだそれほど昔のことではないということを語った時に、本当にグッときてしまったようだ。(おそらく米国での人種差別のことであろう。1967年のLoving v. Virginia 判決が最高裁判所で下されるまで、米国では異人種間結婚禁止法は撤廃されていなかった。なんと1967年の話しです!!! ジェニファーがこういった場面で、なぜこれほどまでに感情的になってしまうのか、そして平等を勝ち取るためのゲイコミュニティの奮闘と関連付いているのか理解するためには、歴史的な市民権利に関する書籍を読むことを強くお勧めします。)

(※ 米国の公的書類などの記入項目の一つに人種の選択が、たまにあったりします。それはたいてい主に、“白人”、“黒人”、“アジア人”、“その他 (others)” といったような選択枠で、要するにジェニファーの場合、この“その他 (others)” に当てはまるわけで、そのことを言っているのだと思われます。)

レイチェルとローレルも、ジェニファーが話しているのを見ていてかなり感情的になっているようだった。このときまでにレイチェルのところに戻ってきていたあのカウボーイハットが再びジェニファーに手渡されると、ジェニファーは、「この帽子は元気が出る帽子だから・・・。」と言って、感情のバランスをとる道具としてその帽子をかぶっていた。そして、「このようなことを観客のみんなに話すことは、一番安いセラピーなのかも。」と言った。このQ&Aコーナーで多くの人たちが語ってくれた個人的な素晴らしいストーリーを聞く事ができたことや、ドラマをやっていた頃のことなど様々なことが一緒になったのか・・・。この時点で、ジェニファーはまた涙が溢れ出てきて、何回か大きく息を吸った。そして帽子の縁の小さな羽を触りながら、ちょっと無理に明るく振舞って言った。「Feathers! I feel so gay!」 これは、しんみりした空気を少し和らげてくれた。ジェニファーと一緒に涙を流していた観客の中の大勢の人たちも、これには笑った。締めの言葉として、「もちろん “Lの世界” で学んだことはまだ他にもあるわよ。」とジェニファーは言った。「例えば、“デンタルダム(※)”とかね!」 ドラマをやる前は、デンタルダムのことをよく知らなくて、どうやって使うのだろうと、ただ思っていたのだそうだ。

(※)歯医者の治療用に開発されたゴムのシートをオーラルセックス用に改良した薄い天然ゴムラテックスのシート。エイズなどの性行為感染症の予防策用として利用されるセックスグッズの一つ。

レイチェルもまたドラマがいかに彼女の人生を変えたか話し始めた。彼女も同様に、お蔭様で以前より政治的関心が強くなったことと、以前は考えたこともなかった多くの問題に気づくようになったと語った。

そしてローレルの番。オープンに素直な気持ちで深い感情をみんなに語ってくれたジェニファーの話を聞いていたからか、ローレルも同様に感傷的になって、個人的なレベルまでオープンに語ってくれたのだと思う。まず最初に、「Lの世界」を始める前の生活はどうだったのかということを少々語ってくれたのだが、その生活を描写するのに “transient (この場合 “渡り鳥” といったところか…)” という単語を使った。「Lの世界」を始める前には、ニューヨーク、シカゴ、そして低予算映画のためにどこか遠くて辺鄙な所に引っ越したり、といったように全米のあちこちを転々としていて、現在のご主人ポールに出会う前は、何年もの間付き合っていた人はいなくて、どこに根を下ろすことなくそんなはかない生活を送っていたという。その後、ティナの役が決まって、パイロット版が終わるとすぐに自分の家を初めて買い、そうすると、まったく偶然なことなのだけれども、家族が欲しくなったり・・・といったように、ティナの人生と並行するようにいろいろなことが彼女の人生に起こってきたのだそうだ。シーズン6で養子に関する新しいストーリーラインがあることと、少し前にローレル自身が女の子を養子に迎えたことについて、ローズ・トローシェ(監督)が、ローレルの実生活からドラマのアイデアを盗んだわけではないと誓ったのだと半分ジョークで教えてくれた。また「Lの世界」が、いかにいろいろな形で情緒的安定を与えてくれているのか、そしてこの何年もの間に、ゲイコミュニティの人たちや、コンベンションで実に多くの人たちに会うことができたと語った。ここで今までの思い出が脳裏をよぎったのか、話す声は震え、涙を浮かべ、話すのを中断した。ジェニファーが黙ったまま自分の頭にのっている帽子を取りローレルに渡すと、それを頭にのせた。そして自分は、さようならとか、何かの終わりの時をうまく収拾できないのだと言った。さらには両親の離婚のことに触れ、自分の殻に閉じこもりがちだったり、感情をオフにして “たいしたことないわ” みたいな態度を取りがちな傾向にあることを明かしてくれた。しかし「Lの世界」は、この6年もの間、彼女の人生にとって大きな部分を占め、彼女自身のことをかなり変えてくれたそうだ。

これで、日曜日のQ&Aセッションは終わり、この次にオークションが始まりました。

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